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第一回 ゼロから始める小説読解 問題編[レベル☆] 

2020/09/24

 

(これは、小学5年生の翔太が習い事のそろばん塾から帰る際にクラスメイトの裕子にばったり会った時の話です。)

 

 

「翔ちゃん」

裕子は大きな声で翔太に叫んだ。クラスの中でも一際背が高い裕子に買い物カバンがよく似合っている。

ブスッとした顔で何も言わず横を通り過ぎる翔太の背中に大きな音が響いた。

①今まで考えていたことが出ていき、空っぽになった翔太が振り向く。

「おい、なんだよ」

「なにかあった?」裕子は翔太と目線を合わせるように小さくなる。

そんな裕子を横目に何も言わず踵を返した。きっと言ったらまた馬鹿にされると思っていた。

翔太の中にトゲが戻ってくる。そのトゲは一歩また一歩と歩みを進めるごとに大きくなっていく。

『家に帰りたくないなあ』だんだんと歩幅の大きさは小さくなっていき、最後には立ち止まってしまった。

「当ててあげよっか!」裕子がまだ後ろにいたことに気づく。

「試験、また落ちたんでしょ!これで何回目だっけ?」その笑顔は嘲りというよりも同情に近いものだった。翔太は下を向いて「3回目。」とつぶやいた。

「お母さんにまた叱られちゃうね」

「余計なお世話だよ」

そう言うとまた歩みを始めた翔太の手を裕子の空いた手がつかんだ。身体が右にかたむき勢いよく土手を下った。

心が軽くなると同時に重力は無くなり、川の方まで二人は走った。耳から聞こえる風の音が妙に心を落ち着かせる。

 

川につくと裕子が急に

「いつもいつもお使いに行かせないでよー!!面倒臭いんだよー!!」と叫んだ。裕子の子どもらしい真実の言葉だった。

同時に翔太の心を占めていた言葉が出ていった。

「毎日頑張ってんだから、怒んないでよ!!」

ふたりの声は川の向こうまでは届かない。ただ気持ちの一部が出ていくことで開いた場所に②新たな気持ちが生まれる。

「次は受かるから。」

「うん。」

2人はひとしきりくだらない話をした後で互いに背を向け帰路についた。

 

 



問1 この文章を大きく二つに分ける場合、後半はどこから始まるか。後半の初めの五字を書き抜きなさい

 

問2 下線部①で翔太が考えていたことはどういったことか。

 

問3 下線部①での翔太の気持ちを二語で答えなさい。

 

問4 下線部①と同じ意味で使っている言葉を本文中から2語で書き抜きなさい。

 

問5「新たな気持ち」とはどういった気持ちのことか。